MadisonによるテレビCM効果の分析事例1

時系列データ分析から機械学習の手法まで
いかなる分析にも対応

     

Madisonは、すべての広告主のCM投下量(GRP)がエリアごとにわかるWebサービスです。日本全国のすべてのエリアでCMの放送時点が正確にわかり(何時何分何秒にどの局で放送されたかわかる)、さらにこの精度の高いファクトデータを用いていかなる分析手法にも対応できることがMadisonの強みです。

本ホワイトペーパーでは、Madisonのデータを使って、CMの実店舗売上への効果を分析したA社の事例をご紹介します。A社は、①売上に影響を与える要因の因果関係の整理と売上リフト効果の算出、②売上を予測するマーケティングモデルの構築、③オンオフ統合分析による広告媒体の重要度比較、という順番で分析を進めました。具体的な分析内容をご紹介します。

①売上に影響を与える要因の因果関係の整理と
売上リフト効果の算出
~小パッケージと新規購入者にCM効果あり~

まず、図1のように使用できるデータから想定される因果関係を整理します。次に、実店舗売上データとCM出稿データを月別エリア別時間別に見てみる、実店舗売上データをパッケージの大小に分けて見てみる、など各指標の関係を確認していきます。さらに、CMのアドストック効果(※1)も考慮して時系列データ分析を行い、売上リフト効果(※2)を推定します。
A社の場合は、CMを集中投下している年末から春先にかけて小パッケージの新規購入者の割合が急増しており、この時期の小パッケージの売上においてCM効果が認められることがわかりました。

※1 CMの時間遅れの効果、残存効果のこと。

※2 CM放送前後の売上増分効果のこと。



図1 売上に影響を与える要因の因果関係の整理

図1 売上に影響を与える要因の因果関係の整理

②実店舗売上を予測する
~マーケティングモデル構築~

今回の分析では、A社の売上データ、MadisonのCM出稿データ、ECサイトの広告インプレッション数、動画広告視聴数などを用いて、実店舗売上を説明するマーケティングモデル構築に取り組みました。
当社は、特定の分析手法に特化した分析ツールを提供するのではなく、マーケティング担当者が抱える課題や使用できるデータに応じて、最適な手法を選択して分析を行います。
モデルの構築において、様々な分析手法を検討した中から比較してわかりやすい2種類の分析結果を図2と図3に示します。(※3)
1つは、多くの人が知っていてExcelでも可能な重回帰分析を用いた結果が図2、もう1つのLightGBMと呼ばれる機械学習の手法を用いた結果が図3です。図3のほうが図2に比べて、プロットした点のばらつきが少なく、フィッティングの精度が高いことがはっきりとわかります。このように、分析手法によって精度が異なるため、特定の分析手法のみを試すのではなく、様々な分析手法を試すことが重要です。

※3 モデルによって売上を予測し、横軸を実績売上値、縦軸を売上予測値としてプロットした図です。プロットした点のばらつきが少なく、直線の傾きが45度に近いほど、実績値との乖離が少なく、予測精度が高いことを示します。



図2 売上実績値と売上予測値(重回帰分析を用いて)

図2 売上実績値と売上予測値(重回帰分析を用いて)

図3 売上実績値と売上予測値(LightGBMを用いて)

図3 売上実績値と売上予測値(LightGBMを用いて)<

③オンオフ統合分析
~各種の広告媒体の売上への重要度を比較~

さらにA社では、マーケティングモデルの構築に加えて、CM出稿、ECサイトの広告インプレッション数、動画広告視聴数、などオンライン広告とオフライン広告のどれが売上にとって影響が大きかったのか比較しました。
図4はA社商品の実店舗売上にそれぞれの広告が与える影響度(※4)を示しています。影響度は、テレビCM、動画広告視聴数、ECサイトの広告インプレッション数の順で大きいことがわかります。このように、CMだけでなく様々な広告媒体の影響度を比較する分析も可能です。
A社は、デジタル広告のインパクトが限定的だったことから、デジタル広告の出稿を見直しました。

※4 影響度はモデルの変数の相対的重要性を表しています。

図4 実店舗売上に与える各種広告の影響度比較

まとめ

本ホワイトペーパーでは、A社商品の実店舗売上に与えるテレビCMの効果測定の事例をご紹介しました。
冒頭の繰り返しにはなりますが、Madisonの本質は、日本全国のすべてのエリアでCMの放送時点が正確にわかること、つまり「精度の高いファクトデータ」であることです。Madisonは、このデータを保有しているからこそ、マーケティング担当者が抱える課題に応じて、その他のデータの入手に制限があったとしても、最適な分析手法を使って対応することができます。
当社は代理店ではない客観的な立場で、事実だけに基づいてマーケティング担当者を支援することができます。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

本ホワイトペーパーでは、出稿量はテレビCMの本数ベースで集計・表記しております。
Madisonをご契約いただいたお客様は、放送エリア別にGRPベース(述べ視聴率ベース)で確認することができるようになります。
Madisonは、2014年10月以降の全国のCMデータを蓄積しています。